「縁」の広がりで得たチカラが事業拡大を後押し
「当社は私が生まれた年に父が創業した会社です」
こう話を切り出したのは、株式会社小俣電設工業の小俣哲哉代表取締役。同社は小俣勝廣会長が1977年に脱サラして起業した設備工事会社です。社名こそ“電設”と付いていますが、現在は水道配管をはじめとする管工事から温泉の噴気関連工事、土木関連工事と、その事業範囲は大きく広がっており、2003年には大分県の業界格付けでも最上級にランクされるまでになっています。2013年には再生可能エネルギーが持つ可能性に着目し、温泉熱を利用した発電会社である西日本地熱発電株式会社を設立。まさに同社は、小俣哲哉代表取締役と共に今日まで成長してきたといえます。
「実は学生の頃は家業を継ぐことなど、まったく考えてもいなかったんです。工業高校を卒業したものの、特に何かやりたいことがあったわけでもなく、なんとなく水道会社や飲食店で働いていました。父からも特に何も言われなかったのですが、知人の進言で23歳から当社で働きはじめたんです」
小俣電設工業の正社員として勤務しはじめてからも、当初は「与えられた仕事をこなす程度」だったそうです。
スイッチが入ったのは別府青年会議所(以下「別府JC」)に加入した26歳の時でした。
「多くの人と知りあえたことで視野が大きく広がり、色々なことを学びました。別府JCのおかげで自分の生き方を変えようと思うようになり、仕事に対するモチベーションも高まりました」
JCで体験した様々なイベントを通じて“人間力”を磨き、県内外の若手経営者との交流を通じて“ネットワーク力”を広げたことで、「自社のビジネス展開にも貢献した」と小俣代表。
「実は再生可能エネルギービジネスに参入したきっかけはJCでした。会合で知り合った大阪の会員と意気投合し、パートナーとして起業できたんです。新幹線やリニアモーターカー等に関する技術を持った設備会社の大手で、小俣電設工業としても良い刺激になりました」
2017年春、別府JC卒業年にあたる40歳の年に、小俣哲哉氏は同社の代表取締役を引き継ぎます。取材中の手もとに置いてあった、いつも現場へ持参するというボールペン、カメラ、メジャー、計測器等の愛用品を手にしながら、小俣代表は入社から今日に至るまでを振り返ります。
「現場で一人前の職業人となるまで成長できたのも、会長や職場の仲間たちはもちろん、JC活動で得た“縁”の広がりがあったからこそ。これまで学んできたことをあらためて胸に刻み、地域社会への恩返しを誓います」
力強く語る小俣代表の言葉から、その意気込みが伝わってくるようでした。
profile
株式会社 小俣電設工業
代表取締役 小俣 哲哉 氏
(山の手支部会員)