日本独自の文化を支える職人としての誇りと技術を次世代へ繋ぐ
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四季がある日本の風土に根ざし、奈良時代から1300年もの歴史を持つとされてきた畳文化。その一方で、国内での畳需要は減少傾向にあります。
「生活様式の洋風化に伴い、個人住宅ではフローリングの床が主流となりました。以前は新築住宅でも1〜2部屋は畳の部屋を作り、そこで結納や法事を行うこともありました。しかし、最近は和室そのものがない家も多く、マンションなどの集合住宅も和室が排除される傾向にあります。中国などから安価な輸入品も増えており、国産い草の収穫量で日本一の熊本県八代市でも、畳表の生産量が減っています」
このような畳業界の将来を憂うのは、大分市大在地区で創業から約60年を超える歴史を持つ有限会社長野畳店の2代目、長野辰生社長です。高校卒業後に電算機関係の専門学校で学んだ長野社長は、東京の大手銀行で電算システムを扱う技術者として勤務していました。しかし23歳で家業を継ぐ決心をして帰郷。一人前の畳職人をめざして腕を磨きはじめたといいます。
「家業とはいえ、畳製作技能士という国家資格を取得する技能検定試験では、ずいぶん苦労しました。普段は機械化されている作業であっても、試験ではすべて手縫いで製作するのです。資格取得後も、納得のいく腕前に到達するまでは長い道のりでした。素材の特性を見極め、畳を敷き込む部屋を正確に採寸し、寸分違わぬ畳表、畳床を作りあげる技術は、一朝一夕で身につくものではありません」
今日まで使い込んできた畳包丁、畳針、手鈎など、畳作りに必要な専門道具を手に取りながら、職人として歩んできた人生を振り返る長野社長。
「いまも現役で仕事をしている父親からは、私がこの世界に入った当初から『職人仕事は生涯修行』と言われ続けてきました。後継者不足などの課題もある業界ですが、畳文化と職人技術の継承に取り組んでいかねばなりません」
令和2年にはユネスコ無形文化遺産に「伝統建築工匠の技」のひとつとして登録された日本の畳製作技術。畳の香りや感触が見直され、自然素材として健康や環境に対する効能・効果が再評価される動きもあります。
「畳職人としての誇りを大切にしながら、地域の皆さまに畳の魅力を伝えていきたい」
地域の人たちとの交流も大切にしている長野社長ですが、自社のホームページでは新しいデザインを取り入れた畳縁や、モダンにコーディネートされた和室の施工事例の情報発信も行っています。大分県畳工業組合の専務理事も務める長野社長の思いが伝わってきそうです。
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profile

有限会社 長野畳店
代表取締役 長野 辰生 氏
(北海部支部会員)
大分県大分市大字政所2308-3
※地図
tel:097-592-0039
URL https://oita.o0o0.jp/naganotatami.html