大分県産の柚子と柴石温泉の温泉水を使用した別府発のスキンケアブランド「ゆらい-yurai-」。開発・販売元の株式会社フォークローバーズを運営する河野代表取締役社長は2020年3月、大分県経営革新支援制度の承認を受けて同社・同ブランドのさらなる成長を目指すこととなり、そのサポートをみらいしんきんが行いました。ブランド立ち上げの経緯や経営革新の内容などについて、河野代表取締役社長にお話を伺いました。
■安心・安全にこだわった「ゆらい-yurai-」シリーズ
──自社スキンケアブランド「ゆらい-yurai-」シリーズは、大分県産の柚子と柴石温泉の温泉水を使用しているそうですね。概要を教えていただけますか?
河野 スキンケアブランドを立ち上げるにあたり「柚子」と「温泉水」に着目したのは、美肌・美白効果が期待できる成分を豊富に含んでいたからです。柴石温泉の温泉水からは美肌効果がある硫黄成分を取り出し、柚子の種子からは美白効果があるペクチンという物質を抽出しています。大分はかぼすが有名ですが、柚子の方がペクチンの含有量が多く、より高い効果が期待できるんです。また、石油由来成分をまったく使用していない「100%自然由来成分」なので、アトピー性皮膚炎などをお持ちの方でも安心して使用できます。
──現在、「ゆらい-yurai-」シリーズは5つの商品を展開しています。
河野 2010年に開発をスタートし、2011年から販売している「練り石鹸」を皮切りに、「化粧水」「クレンジングオイル」「美容クリーム」「薬用美白美容液」の5商品を展開しています。販売当初は月に10個売れればいい方でしたが、10年経った現在では、練り石鹸だけで月に1千個弱売れるようになりました。ようやくここまで来た、という感じですね。
──現在に至るまでの苦労についてもお聞きできればと思います。そもそも、スキンケアブランドを立ち上げようと思った理由は何だったのでしょうか?
河野 もともと実家が、資生堂やカネボウ(現、カネボウ化粧品)といった大手ブランドの商品を扱うチェーン店を運営していたんです。そこで生まれ育ったので、将来は両親の想いを継いで化粧品の販売に、さらには化粧品の開発に携わりたいと考えていました。でも、なんで柚子と温泉水を使うことにしたのか?と思いますよね。それには、今まで自分が経験してきた仕事や、いろいろな方との出会いといった「縁」が深く関係しています。
■縁から生まれた、地場産スキンケアブランド
──いろいろな縁、というと?
河野 将来的には化粧品に携わりたいとは思っていましたが、実はアパレルにも興味があって。それで、高校卒業後は大分市にある有限会社シェイクハンズというアパレル会社に入社して、バイヤーとして働いていたんです。4年後に退職して上京した後も、株式会社ティンパンアレイというアパレル会社で働いていたんですが、当時、その会社はカフェも運営していたんですね。ちょうど東京にスターバックスコーヒーが上陸して、カフェブームが起こった頃です。私も副業のような形でそのカフェで働いていたんですが、これが非常に面白かった。アパレルと業態は異なりますが、売れ筋を見極めた上で仕入れし、より大きな利益を出すという点は同じですし、目標を達成した時の喜びは何ものにも代えがたいものがありました。そういった経験があったので、別府に帰郷して2003年に株式会社フォークローバーズを設立した時は、カフェの運営からスタートしたんです。
──本社の2階で運営している「Four clover’s CAFE」ですね。
河野 そうです。ここからが化粧品の話になるんですが、カフェの常連さんに柚子胡椒の製造をしている会社の社長さんがいまして、「柚子の種子ならいくらでも持って行っていいぞ!」っておっしゃってくれたんですね。同じ時期に、大分大学から柚子の成分が肌に良いという論文が発表されて、これだ!と思いました。化粧品をつくるなら地場の素材で勝負したいと考えていたので、その時に初めて大分産柚子の活用を思い立ったんです。柴石温泉の温泉水も、知り合いの紹介で利用させていただけることになりました。成分はミネラルが豊富な炭酸水素塩泉。かつてあった原子爆弾被爆者別府温泉療養研究所(通称、別府原爆センター)の温泉と同じ成分で、炎症を抑える作用があります。この2つの素材をOEM先の株式会社ピュール(福岡県糸島市)に持ち込んで、2011年に完成したんです。