「おいしい別府。見る聞く食べる。2022」Special Report
第2回プログラム「薪焼 阿蘇のあか牛より」より #1
別府商工会議所の主催事業『おいしい別府。見る聞く食べる。2022』が、2023年1月17日(水)の第5回プログラムをもって終了しました。大分県「観光産業リバイバル推進事業」の委託事業で、別府の料理業界全体のブラッシュアップや飲食店従事者同士の横のつながり、そして生産者との交流を目的に掲げ、テーマに沿った講師を招いて実施されてきたものです。参加する地元料理人らは、前日から講師と共に同じ調理場に立って仕込みを行ってきました。
「e-DoYou!」では、2022年10月4日(火)にAMANE RESORT ガハマテラスで行われた第2回プログラム「薪焼 阿蘇のあか牛より」の模様をリポートします。
■あか牛を熊本の地産地消モデルに
第2回プログラムの宮本健真シェフは、熊本市の人気イタリアンレストラン「antica locanda MIYAMOTO」のオーナーシェフ。イタリアの名店で修行を重ねた後、帰国後は日本中の食材を探してきた宮本シェフですが、養鶏を行い、その堆肥で野菜を育て、野菜の端切れを餌にするという「循環型農業」の存在を知りました。そこで「環境や土が変われば同じ野菜も味が違う」と実感し、国内随一の農業県である地元・熊本に戻ってきたのです。
とはいえ、当時は「地産地消」という言葉も浸透しておらず、地元のお客さまからは「他の土地のものも食べたい」という声が多かったそうです。そこで「地元食材だけにこだわるのではなく、考え方の合った生産者が手がけた、お店に合った食材を使うことが大切だ」と実感したそうです。そこから生産者と深くつながりができると、舌がレベルアップし、感覚が研ぎ澄まされ、さらには違いに人間同士として惹かれるようになったといいます。
そこでたどり着いた結論が「熊本に行かないと食べられないものを提供する」ということ。そのための取り組みが、お店の看板メニューの食材でもある「あか牛」です。
実は、かつてあか牛は、地元の人たちからは「質の低いパサパサした肉」というイメージを持たれていたそうです。そのため宮本シェフは、あか牛を美味しく調理するために、様々な取り組みを行いました。
■宮本シェフ流の熟成肉とは
「食材は、人間の管理次第で質が大きく変わる」と宮本シェフは話します。
たとえばお肉は、ある程度水分を飛ばして「枯らす(水分調整)」工程を経ると、日持ちが良くなるのだそうです。通常のお肉は、すぐにバラして真空処理をして出荷するため、この「枯らす」工程が省略されているのです。
そこで宮本シェフは自分で食材のピークがコントロールできるよう、生産者に熟成具合を吟味して送ってもらうようにしました。空気に触れて酸化した肉と、適切に水分を減らした肉、どちらも熟成肉と呼ばれていますが、ここにひと工夫を加えたのです。
【参加した特別講師】