老舗が老舗たる所以
(焼肉・冷麺 元祖 アリラン)
とり天とならび、別府を代表する大衆グルメとなった別府冷麺。全国的には盛岡冷麺と対比して“二大冷麺”と称されることもありますが、歴史をたどると昭和25年創業の別府冷麺の方が4年ほど早いようです。
その発祥の店とされるのが、別府市北浜の海門寺公園近くに店を構えるアリランです。
「戦後に満州から引き揚げてきた2人の創業者が開いた店を、一緒に働いていた父が譲り受けたもの。当初は店名も『アリラン食堂』で、いわゆる出前も引き受ける大衆食堂であり、カレーやチャンポン等と同じメニューのひとつに過ぎませんでした。別府冷麺として注目されはじめたのは、最近になってからですね」
幼い頃から同店を見てきた現オーナー兼店長の西村清一さんは、こう話します。
アリランの冷麺は、そば粉、小麦粉、デンプンを調合した手打ち麺に、秘伝の和風ダシで作られたスープ、さらには自家製キムチと、すべて手作り。長く続けるのが難しいともいわれる飲食店ですが、70年近くも当地で親しまれてきたのも、このこだわりがあるからだと思われます。
また、焼肉の名店としても知られる同店で提供されるお肉は、リーズナブルな料金設定にも関わらず、その品質の高さと美味しさが評判です。1頭の牛からわずか1キロしかとれない希少な「リブマキ」、その日のおすすめが並ぶ「ホルモン4種盛り合わせ」等、こちらも人気メニューが揃っており、深夜までお客さまが絶えることはありません。
「ブームに踊らされることなく、とにかく美味しいものをお客さまに提供して、喜んでいただける顔を見たいだけです」
老舗として培ってきた誇りと、守りたい味を未来へつなげたい想いが、アリランの料理ひとつひとつに息づいているのです。