腕利き料理人が振る舞う本物の味
（由布院 その田）

のどかな安心院のまちに、全国からファンが通うお店があります。
その名は「由布院 その田」。
「美味しいお肉がたべたいけれど、胃もたれが心配」そんな大人のお腹と舌を虜にしているのは、1日20食のみの限定メニュー「黒毛和牛のどんぶり」（1,800円）です。どんぶりの表面に敷き詰められたお肉は、ほんのり赤味を帯びた美しい色。飴色の餡がかけられ、つややかです。どんぶり中央には温泉卵とすりおろしわさび。オリーブオイルと塩で味付けされた豆腐の小鉢、2種類の香の物、お味噌汁がセットになっています。

「牛肉は佐賀や宮崎、鹿児島など九州産のもので、希少な『かぶり』と呼ばれる部位を使用しています。ロースに近い部位で、脂っぽくないのが特徴です。旨味がありながらあっさりしているので、年配の方でも負担なく食べていただけます」そう教えてくれたのは、店主の園田勝也さん。
由布院温泉を代表する老舗高級旅館「亀の井別荘」に20年勤め、料理長として活躍した園田店主。縁あって安心院に出店したのは2019年5月。安心院にありながら「由布院」と名付けたのは、「生まれ育った湯布院をアピールしたい気持ちがあるから」だと言います。

夫婦おふたりで切り盛りするお店は、清々しい空気が流れる、落ち着きのある空間です。
カウンターの上にはバーのようにワイングラスが吊り下げられており、ワインの産地である安心院らしさが感じられます。客席と厨房を仕切るカウンターが低いため、調理する様子が眺められるのも特徴です。
「刻んでいる音や油で揚げる音、包丁で切り分け皿に盛り付ける様子、鍋を振っている様も料理の一部だと思っています。料理の出来上がりを単に待っているよりも、調理の過程を眺めると期待感も膨らみ楽しめると思って」と、園田さんは語ります。

夜は完全予約制。魚や野菜など、季節のものを中心にコース料理を提供しています。食材の旬は短く、わずか10日から2週間程度しかないと言いう園田さん。
「1度ご来店いただいて、短い旬の味わいを感じていただけたら嬉しいですね。料理としてお客様に提供する前までに、多くの人が携わってくれています。ですから野菜や肉の一つひとつ、生産者や業者などすべてに感謝しながら調理しているんです」
どこまでも謙虚で、親しみやすい園田さんご夫婦。料理の味はもちろんのこと、あたたかく優しい笑顔のおふたりに会いに、お店に通う人も多いことでしょう。

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