GW真っ最中にこの原稿を書いています。

第11節終了時点でトップチームは首位を走っています。試合内容に課題を残している点も多々あるとはいえ、「問題があっても勝ち切る」ことができているのがチームとしての成長の証のように感じます。
一方で、先月同様入場者数が思うように伸びていない現実があります。ホームで試合ができるのは年間21試合しかありません。すでに6試合を消化していますから、残り3分の2でしっかり立て直していかねばなりません。

この取り組みこそが、まさに今回から触れていく「経営・フロントのプロ化」を象徴するものです。
クラブの長い歴史の中で様々なことがあり、それによって経営が簡単でなくなったことも事実だと思います。しかしながら、新たな未来を創っていくためにも、クラブ経営者・フロントスタッフがプロになっていくことが必要不可欠であり、支えて頂いている皆様への責務だと思っています。
その立場に立って、今の大分トリニータにとって大事な「経営・フロントのプロ化」について述べたいと思います。

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まずは「経営・フロントのプロ化」を考えるにあたり、「個別事象」にとらわれ過ぎないこと、つまり「木を見て森を見ず」にならないよう、皆さんにお伝えしたいと思います。

前提条件として大きなポイントが2つあります。
(1)そもそも論として、「監督・選手」がプロであるのに、それを運営するクラブ・スタッフがサラリーマン思考・アマチュア感覚で経営・業務に携わっていていいわけがない。
(2)一般企業では当たり前に行われることが、自分たちは「何か特別な業態」であるという意識によって阻害されたり、実施されない現実が許されるはずがない。

これらを踏まえ、私は「経営・フロントのプロ化」の骨子を以下のよう考えています。

【1】経営のプロ化(強固な事業基盤と成長戦略の確立)
(1)人の想像を超えるような魅力的なビジョンの提示
(2)スピード感を持った実行力
(3)持続的成長を可能にする人材育成

【2】スタッフのプロ化(健全な競争と拍手と握手の文化)
(1)自立と自律
(2)高い目標と成長欲求
(3)成果に裏付けられた自信と誇り

【3】組織のプロ化(社会的存在意義の体現と挑戦)
(1)学習・向上し続けるエネルギー
(2)変化・進化し続ける柔軟性
(3)「公器」としての誇り・矜持

人材ビジネス業界で約30年間生きてきました。
数えきれないほどの企業の採用・教育に関わってきました。
同時に、自社の経営にも立場を変えながら20年近く携わってきました。
伸びる会社、強い組織には明らかに共通項があります。またその逆も真なりです。

今のトリニータに足りないものは何か?
トリニータの今後の成長にとって必要なエッセンスは何か?

GWが開けると、私もトリニータ3年目に突入します。私が自らの使命として遂行する「経営・フロントスタッフのプロ化」の各論について、次回から詳述したいと思います。

 

 

 

profile

神村 昌志 氏
(かみむら・まさし)
株式会社大分フットボールクラブ経営改革本部長。
1962年、愛知県半田市生まれ。大阪大学文学部卒業後、1985年に株式会社リクルート入社。2年目よりリクルートUSAへ出向。ロサンゼルスに駐在。外資系企業を経てJAC Japan(現・JAC Recruitment)入社。2003年に代表取締役に就任し、2006年JASDAQ上場を果たす。2008年10月より株式会社アイ・アム代表取締役社長を経て、2012年3月より株式会社アイ・アム&インターワークス代表取締役会長。2015年にはJリーグが設立したプロスポーツの経営人材を養成するビジネス講座「Jリーグヒューマンキャピタル(現・一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル・略称「SHC」)」一期生へ。2016年より現職。趣味はサッカー、ゴルフ、落語、講談、ワイン、読書。アマチュア講談師として年に数回高座にも上がっている。
■大分トリニータ(株式会社大分フットボールクラブ)
http://www.oita-trinita.co.jp
■一般財団法人スポーツヒューマンキャピタル
http://shc-japan.or.jp