こちらでWebライティングについての話を始めて早8回、文章を書く際の注意点などをあれこれと連ねてきましたが、今回は「意識して文を使い分ける」について。
発信する側がターゲットを選定できたら、その次に必要なのは“使い分け”です!
■文章を使い分ける、とは?
そもそも、文章を使い分ける理由はズバリ、読み手が気持ちよく文章を読めるようにするため、です。
会社のブログや広報用チラシなどなど、仕事で情報を発信するために文章を書く場合、多くはそこに、発信側の気持ちや思いを伝えるという目的があります。
しっかり内容を伝えたい!という一心で文章を書き始めると、どうしても発信者の思いを「伝える」ことに執着し、読み手のことをおざなりにしがち。しかし、発信した内容が相手に「伝わる」ことが大事なのです。
気持ちよく読み進めて読み手に「伝わる」ように、読んでくれる相手に合わせて文章を使い分けましょう。
■文章の「何」を「どう」使い分けるの?
インターネット上には数えきれないほどのコンテンツがありますが、Googleさんのお節介(過去の検索内容から推測した“この記事お好みでしょ?”の記事候補)を何となく見る記事と、閲覧者が知りたいと思って検索ヒットした記事では、きっと読む熱量が違います。
そして、掘り下げていけば、読み手のシチュエーション(時間・場所・家族構成)やテンション(仕事で集中・カフェでまったり・誰かとケンカ中など)によっても、読む意欲が異なります。
いつ、どんな状態でも、同じように読んで理解してもらえる文章を書くのは非常に難しい、いやきっとムリです。が、ターゲティングと同時に読み手の状態まで想定して文章の細部にこだわりましょう。これで、読みやすさがグッと違ってきます。
1:能動態と受動態を使い分ける
講師として、いろんな方の文章を校正させていただく機会がありますが、「~~されてみてはいかがでしょうか」といった受動態を多く見受けます。率直に言って、この言い回しでは押しが弱まります。
たとえば、社員旅行で訪れた場所のことをブログに書く際「行かれてみてはいかがでしょう」よりも「ぜひ行ってください!」と能動態にしたほうが素直かつ積極的ですし、読み手の理解も早いはず。
ただ、なにか不確定なものを伝える時や、能動態で記すと事実だと誤認されかねないような内容は受動態にします。
社員旅行で訪れた先がカッパ伝説のある大池だったとして、「昔、カッパがいた池に行きました」と書いては…ダメですね。ここは「カッパがいたとされている(伝えられている)」が正解です。
2:一人称と三人称を使い分ける
一人称=私、三人称=読み手と書き手以外の誰か。この違いはすぐにわかっていただけるでしょうが、いざ文章を書いてみると、その使い分けが難しいという方が多くいます。
ある事柄を「私が話している」か「誰かがその良さを伝えている感を出す」かの違いなのですが、テレビショッピングのナビゲーターや実演販売士さんのトークを思い出してみてください。
取り扱う商品を説明する時に、「私は…」や「思います」という言葉をほぼ使いません。その代わりに「この商品は○○という機能が××という効果をうみ、~~に仕上がります」という言い回しをします。
事実と効果を客観的に伝えたいセールス文章の場合、自分ではない誰かになりきって三人称(第三者目線)で伝える方が、読み手にスルッと入っていきやすいもの。
新商品リリースの案内に「開発担当の私が使って100点の出来栄え」と書くと、自画自賛的印象が強めですが、「全社員総力を上げて〇年がかりで完成させた究極の進化型」といった方が、スゴさが出ますよね。
逆に、社員のひとりごとを綴るような会報やブログ、またコラムなどは、一人称で主観を入れると読み手が感情移入しやすくなります。ただし、この場合も、主観だらけの日記のような書き方ではなく、誰かに読まれる文章だという意識は忘れずに。
【今回の脳内開放の法則】
読んでいる人の状況を想像しながら、
それに応える文章に仕上げ(使い分け)ましょう!
読み手が、皆さんの書く文章にたどり着く場所(販促LP・イベント特設サイト・公式ブログ・SNS)や、読む目的(購買促進・お役立ち情報等)に合わせて文章の書き方を変えること。
さらに、言い回しや語尾、やわらかめ・硬めといった文章の雰囲気を意識して使い分けられるようになれば、どんな文章も怖いものなし!です。
次回は、第9回「心をゆさぶるWebテキストを書くには(前編)」。
いよいよ佳境に向けて一歩踏み込んだ内容を予定しております。
乞うご期待。