こたつdeポン!! 誕生秘話 #02
「ケンメイな歩き方 〜転ばぬ先のおおいたんチエ〜 第2回 こたつでポン!!誕生秘話 #01」からの続き
なんとかイベントのスキームは作り上げ、若いメンバーはボランティアも集めてくれ、メディアにも万全の発信をした。アナログとSNSはFacebookだけ得意なおいさんチームと、ITの最先端を走りSNSはなんでもござれの若者チームとのタッグは、こと発信については完璧だった。
あとは当日を待つのみ。
しかし、集客に対する周りの目は冷ややかだった。「あんな突飛もないイベントに人が集まるの?」「いまどきこたつなんかに興味ある人なんてそんなにいるの?」というような、有り難き声も耳に入っては来た。正直、自分自身も、始まるまではどうかなーとは思っていたけれど、なぜか根底に妙な自信があった。
そして、いよいよ当日夕方5時の開場が来た。
すると驚くほどの人が四方八方から集まってきて、あっというう間に全てのこたつが満席になった。それは終了の21時まで、ずっと続いた。
こたつの上に無料で振る舞われた籠盛りのミカンをひたすら食べるだけのおばあちゃん四人組、麻雀牌を持ってきて天板をひっくり返し麻雀に勤しむおじさん達、懐かしの「人生ゲーム」やトランプに興じる人たち、足をこたつに突っ込んで仰向けになってただ寝るだけの人…。
とにかく参加者が勝手に自分仕様の楽しみ方をしていて、本当に想定以上の趣深い、そして振り切った非日常な賑わいを見せた。まぁ逆に、昭和の普通な冬の光景なわけだけど…。当初、怪訝な目で見ていた街の関係者の評価も、イベント終了時には見事にひっくり返っていた。
このイベントは年を追うに連れ参加者は増え、「こたつdeポン!!」というタイトルも瞬く間に浸透した。2回目になると、1回目が産休で参加できなかった件の女性メインメンバーが子連れの家族でも楽しめるコンテンツを投入。昼からのスタートとなって、来場者のバンドもまた格段の広がりを見せた。
昨年はついにNHKの全国ニュースで紹介され、もうこれは「国民的行事」なのだと周りにはうそぶいている(笑)。
第一回目の準備は、正直本当にキツかった。というか、お金をかけてもっとラクにできる方法はもちろんあったのだろうけど(事実あった)、「若者と一緒にやるということは、おいさんなりのきちんとした取り組み方を背中で見せる」という、取るに足らない使命感もあった。わざと面倒な方法で取り組んだのだ。
金をかけたらラクはいつでもできる、でも始めは金をかけず汗を掻くという、まぁ前時代的な感覚ではあろうけども、やはり大事なのだ。そういうことを積み重ねながら、そしてそれから無駄を削ぎ落としていき、シェイプアップしていく。業者丸投げではない、自分たちオリジナルの発想で進化していかなければならない。
「近道は(得てして)遠回り」なのである。
「こたつdeポン!!」を開催することで、関わるだれかが利益を被ることはもちろん無い。 かかる費用もみんなで協賛金を集めて回り、それを原資に補助金を不足分に充てるというカタチ。それでも総予算は増えて30万円ほどであろうか。
このイベントは街を愛する若者と商店街、それぞれの有志が街と自分たちの瞬発力と未来に想いを寄せ、街に来て下さる方々がとにかく楽しんでもらうことを心から望んで、型にはまった組織とは全く違う形で動いている。
僕が知る限り、今までの街には無かったフレームである。若者達の動きは確かにバタつくことも多いけど、大分というものを真剣に考え、対峙しようとしている。僕はそんな街の若者が愛おしい。
実はこのコラムを書いている18時間後の12月30日には『第4回 こたつdeポン!! 2019』が開催される。過去3回はおいさんチームが全体を引っ張ってきたが、今回から僕らはご隠居的な立ち位置で、若者チームに運営の全権を渡している。今年の僕らの仕事はいかに我慢して黙っているか、ということなのである。でもそれも無理なのだけれど(笑)。
みなさん、間に合えばぜひ若者仕様になった(?)今年の「こたポン」を楽しみに、大分の街なかへおいで下さいませ!