日本の人口は減少に転じ、大都市を含めた日本の大半は人口減少が加速しています。
総務省の平成27年国勢調査を見ると人口増加率のピークは1950年代で15%以上、現在は2015年でマイナス0.7%。福岡県新宮町は人口増加率トップで22.9%ですが、他のほとんどの地域で減少か維持がやっとです。
マーケティングを行う上で基本的なマクロ環境を把握しておくことは重要です。
日本は総じて人口減少に転じており、出生率は1.42に低下。4人に1人が65歳以上、8人に1人が75歳の高齢者。2040年までに896の自治体が消滅すると言われ、地方では高齢者すら減り始めています。国の財政を見ると長期債務は1000兆円以上、地方交付税は約23兆円まで増加しています。
そんな中、地方創生の一助として、ソーシャルビジネスやご当地ブームが続きますが、どちらも好ましい結果が出ていません。
ソーシャルビジネスについては、本来富を創出する事業ではなく税金や国の資金を要する産業であるため、経済のパイを大きくすることは見込めません。
また、ご当地ブームは地方や地域の話題性や認知度向上に若干の効果はありますが、他地域の模倣が続き、現在の人口減少、縮小経済を吸収するまでの効果は望めません。
地方経済を本気で活性化するためには、地方に財源を持たせ、中央からより独立した自由度を持つことが必要と筆者は考えます。現行では各種特区の特定地域が規制緩和の対象になり、他の地域は完全に中央が管理しています。
過去を見れば、ふるさと創生やリゾート法がありました。
結果、全国規模で必用の無い規模のコンサートホールなどが増え、集客できないテーマパーク、環境破壊だけのリゾート開発、赤字の第三セクターが増え続けました。有名知事による改革もありますが、印象はクリーンですが根本的な経済成長にはつながりません。大分に端を発した一村一品運動は素晴らしい取り組みですが、規模が小さく県民経済は縮小の方向です。高齢者は元気になりましたが、経済の拡大は難しいままです。
地方は、全てにおいて権限が無いため、自由に経済を取り入れることができないでいます。地域が自治体規模で飯の種を探し成り立つためには、それなりのポジションを明らかにすることが大切です。
それはマーケットを地域に絞るのではなく、世界に向けて一言で説明できる構想を持つことです。
米国のシリコンバレー、中国の中関村、台湾の新竹サイエンスパークはその地域が主体となり、世界にイノベーションを創出し続けています。中国の大連やフィリピンのマニラは世界中のBPOを担い、企業誘致を世界規模で実施しています。中国のマカオ、シンガポール、フロリダ州オーランドのディズニーワールドは、カジノやMICEを世界規模で実施しています。タイのサムイ島、インドネシアのバリ島、カナダ―のウィスラーは、マリンリゾートやスキーリゾートを全世界に向けて発信し成長しています。
まずは、地域が広域に連携して、全体としての立ち位置を明確にする。そして何を世界に発信するかをクリアにすることが大切です。
そのために、地域に対しての権限が中央から切り離され、地方に委譲されることが必要なのです。
次回は、栄えている地域の特徴的なモデルを見ながら、マーケティングにおけるポジションの事例を見ていきます。
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今回から連載を担当します早嶋です。
早嶋は、中小企業の経営者の頭の中と心の中のモヤモアをスッキリさせることに注力した戦略コンサルタントです。連載では、世の中の動きや事例を少しマクロ的に捉えて、マーケティングの思想や理屈をベースに考えを記述します。
まず第一回目は、「地方創生」について考えてみました。
以降、どうぞよろしくお願いします。