●シャッター通り商店街
長い間中小企業の相談を受ける仕事していて、どうしても先が見えず満足なアドバイスができなかったテーマが商店街の活性化です。それが今年になって商店街に関わる仕事をさせていただくことになり、あらためて商店街に関する法律や支援策、関係組織や成功事例など勉強しています。
県内各地の商店街にも出かけています。シャッター通り商店街とはだれが名付けたのでしょうか。大分市の中心部を除けばほとんどの商店街はその名の通りです。
商店街が衰退してきた原因は交通体系の変化、大型店の郊外集積、人口の減少、商店主の高齢化等々。
●商店街の楽しみ方
商店街がなくても別に困らないと言う声も聞きます。車で郊外のショッピングセンターに出かけて、カートを押して商品を選びレジで精算するのが、一般的なお買い物のスタイル。
でもみなさんは、もう絵に描いたような消費者暮らしに飽きているのではないでしょうか。私は、毎日仕事帰りは、大分市で100年続く商店街を通っています。その商店街から裏通りに曲がった途端に頭の中のスイッチが切り替わる場所があります。すっと肩の力が抜ける場所です。街に暮らす人はだれでもお気に入りの裏通りを持っているのではないでしょうか。ショッピングセンターには裏通りはありません。どこを曲がっても商品の棚ですから。
大分市では65歳以上の人のバス料金が100円になり、街にお年寄りが増えてきました。行く先は病院だけとは限りません。映画館や商店街でもたくさんのお年寄りを見かけます。ファーストフード店にも座っています。みんな街に行きたいのです。
でも高齢者にふさわしい場所はまだ多くありません。ある方は、町のバス停に長く腰掛けていたら徘徊老人に間違われたとか。高齢者にふさわしい上品で誇りをもって過ごせる場所がたくさんあるといいですね。私も、行きつけの飲み屋のマスターに、昼間から店を開けてご隠居さん達に良いお酒を呑んでもらおうよと提案しています。
●「いのちき」の場
商店街は「にぎわい」や「コミュニティ」の場、そして個店の「いのちき」の場です。
私も商店街で開業をめざす若い人の創業プランを見せていただく事が多く、立地は良いか、店舗レイアウトは、目標利益は、お客様をどう呼び込むか、などなど一緒に考えていきます。このお店は成功するなと感じるポイントは、その方の人柄です。この人の選んだ物、この人が作った物にお金を払っても良いと思わせる店主の魅力です。商品を買うだけならネットショップのほうが、ストレスはありません。繁盛商店街づくりは個店の努力に尽きます。
私の子どもがまだ小さかった頃、県南の町に2年ほど住んだことがあります。行くところもないので、毎日、乳母車を押してアーケードの中を散歩していました。お店の人達が子どもの名前を覚えてくれていて、いつも店の中から声をかけてくれました。ここも「シャッター通り」になってしまいましたが、今でもその町が大好きです。