◎まず会社のまわりの草取りから

「汚い企業に明日はない」

これは大先輩の現場改善コンサルタントの口グセ。

以前、食品加工会社を訪問した際、立派な玄関と駐車場の間に大きな夏草が生えていました。「社長さんは玄関から入らないのかしら」と思いましたが、その時はそのまま触れずに帰りました。しばらくしてその会社は衛生管理のずさんさや販売不振で経営が行き詰まり、経営陣の交代が報じられました。

それ以来私は、企業さんを訪問する時は必ず、依頼されたテーマが何であれ、整理、整頓、清掃(いわゆる3Sです)ができているか評価させていただくようにしています。「いらん世話じゃ。」と叱られる事もありますが、あまりにもひどい場合は写真を撮って、誰がいつまでどう処理するか対応をお願いしています。また敷地内で雨ざらしにされている大量の不用品や廃棄物をみると、倒産の風評が立つのではないかと気になります。

どうぞ社長さんは、毎朝、正面玄関から出勤して、ゴミは落ちていないか、草は生えていないか、外からの見かけは感じがよいか点検して下さい。

◎社内も眺めの良い空間に

工場や倉庫も気になります。工場の使えない古い設備や機械は場所を塞ぐだけです。処分して場所が空いたら休憩室や会議室、賃貸するなど使い道もあります。また、倉庫に古くなった材料や売れ残りの商品が眠っていませんか。在庫は金食い虫です。食品会社の冷蔵倉庫に山積みされた在庫の電気代に、ため息が出ます。先日は、土間に放置されている塩の大袋を発見。不要となったので廃棄するとのこと。これを買うために幾つ製品を売らなければならないか。誰か気づいて欲しいものです。

社内の見通しが良くなれば余分なものを買わなくて済むようになります。「現場改善」や「断捨離」のわかりやすい本も出ています。従業員の力を借りて、会社内を眺めの良い空間にしておきましょう。

◎ホームページでは真実の姿を

ホームページはインターネット上の会社です。私も新しい企業に行くときは必ずホームページを見て行きます。美辞麗句を並べていても、実際に訪問したり、商品を取り寄せたりすれば、現実のレベルがどうなのかはすぐにわかります。お客様をがっかりさせない真実のホームページを作りましょう。背広姿の社長挨拶より、従業員の働いている姿や社長自身のFacebookやブログへの投稿記事のほうが共感を得られると思います。

またホームページを従業員や業者にまかせきりにしている方は、時々自分で自社サイトから注文してみて、お客様が使いやすい流れになっているか確認してみてください。

ホームページも整理整頓して、会社の姿を発信する大切な空間。お客様がいつも訪問したくなる温かいホームページを用意して下さい。

今回は、会社の外見のクリーニングをおすすめしました。眺めの良い社屋になったら、次はお金や人のクリーニングも手がけてください。

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雪野佐喜子 
(ゆきの・さきこ)

大分県臼杵市出身 中小企業診断士。『ビジネス支援チーム7福人』代表。金融機関、中小企業に勤務の後、社団法人大分県地域経済情報センター、財団法人大分県産業創造機構で中小企業支援業務に従事。平成23年4月独立。中小企業診断士事務所『ビジネス支援チーム7福人』を開業。創業、経営革新、IT活用、施策活用などのコンサル活動を行っている。一般社団法人大分県中小企業診断士協会 副会長趣味はテニス、登山、飲酒、最近は短歌も。