地域にしっかり根ざし“大きな樹”へと育てあげたい
大分県北エリアの人気グルメといえば、なんといっても、からあげです。中津、宇佐から豊後高田に至るまで、全国にその名が知られる、からあげ店が軒を連ねています。
有限会社大樹が手がける『元祖あげもの工房』も、そのひとつ。昭和40年、豊後高田市に惣菜屋として創業した同店は、日本唐揚協会が毎年実施している『からあげグランプリ』西日本しょうゆダレ部門において、4年連続の金賞受賞という快挙を成し遂げた名店中の名店です。
「当店のからあげの特徴は、冷めても美味しいという点。注文を受けてから衣をつけ、しょうゆ、にんにく、しょうがをベースにした秘伝の漬け込みダレを使って揚げます。一味唐辛子と隠し味にゴマ油を使用しているのもポイント。おかげでカリッとした衣と、ジューシーで歯ごたえのある大分県産若鶏が、絶妙な味と風味を醸し出していると好評の声をいただきました」(近藤洋介代表取締役社長)
別法人の株式会社みえるコーポレーションを立ち上げてフランチャイズチェーン事業も開始し、島根県に第1号店をオープンさせたばかり。昨年は大手コンビニチェーン『ポプラ』のコラボ商品にも採用され、揚げ物調理器がある全国400店で販売されました。商品開発にあたり近藤社長自ら監修を手がけ、同店の味の再現に努めたといいます。販売と同時にポプラ各店舗に豊後高田商店街のクーポン付き案内チラシを設置依頼し、地域振興にも一役を買いました。
「新しいビジネスホテルもオープンした豊後高田は、お客様の流れが変わり、商店街の若手経営者も頑張っています。当社も料飲ビルを購入し、新しい店づくりを通じて町の活性化に貢献できるよう努力しています」
株式会社プライドでは学校給食事業にも参入している近藤社長。順風満帆に見えますが、景気の動向と地域の未来について冷静に把握しています。
「人口減少は地域経済にとって深刻な問題。しかし江戸時代を振り返れば、いまの人口の半分程度で成り立っていました。もちろんこれを直に現代に当てはめるわけにはいきませんが、地域の経営者が総力を結集して、自分たちがどういう商売をしていくか知恵を振り絞っていくべき。田舎だからといって悲観してばかりでは、どうにもなりません」
元祖あげもの工房のホームページには、以下のような記述があります。
「私は、私の人生を悔いなく生きるために絶えず『やる気』を持つことを約束します。『やる気』という木の種は、誰でも持っていると思います。その種から大地にしっかりと『根性』という根をはっていきます。そして『なにくそ』という肥料で大きく育てます」(一部抜粋)
社名に掲げる「大樹」は、近藤社長自身の姿勢を表わしていたのです。