たゆまぬチャレンジ精神の源は
「希望は仕事のバイタリティー」
大分県のIT系ベンチャーでは元祖的存在といっても過言ではない株式会社サークル・ワン。一丸敏雄代表取締役社長は大分工業高等専門学校を卒業後、大手造船所でエンジニアとして勤務していましたが家庭の事情で帰郷、1988年に同社を起業しました。今日まで数多くのシステム開発を手がけてきた株式会社サークル・ワンですが、2014年10月には同社開発の『ハンディ・コスモトーク』が経済産業省の『新連携事業計画』に認定されました。
「ハンディ・コスモトークは防災用の小型IP通信機で、1台で同時に1,000人以上に繋がります。携帯電話サイズで防水機能、全地球測位システム(GPS)を備えており、通常の無線とは違い携帯電話がつながるエリアであれば全国どこでも通話ができます。防災の他にも、タクシーやトラック業者、テレビ局、旅行会社、イベント会社といった具合に、様々な用途に使われます。また、アンドロイド用アプリも開発したので、一般のスマートフォンも業務用無線のように使用できます。本システムの使用に伴う月額定期収入によるビジネスモデルを構築し、おかげで経営の安定化につながりました」
同社ではこのほか遠隔監視カメラ、ホームセキュリティ、パソコンによるPOSシステム、広告映像配信システム、ドライブレコーダーとカーセキュリティを一体化した機器、タイヤボイラー、造水装置など、多岐にわたるシステム開発を手がけています。
「『経営』という単語の『経』は普遍的な経営理念となる“縦軸”、『営』は時代や環境に応じて対処する“横軸”を表わしています。これら両方の軸をバランスよく舵取りしていくのが、社長の手腕と考えます」
順風満帆とも思える株式会社サークル・ワンの事業展開ですが、今日に至るまで苦難の時期があったのも事実です。
「中小企業はトップセールスによる営業を主体としているケースが多く、当社も私自身が製品を開発し、販売することで売上の大半を占めていました。ところがある期間、私が開発部門に専念したため営業が疎かになってしまい、会社の経営が行き詰まってしまったのです。苦しい時期が続きましたが、ある日、これまで当社が開発してきた製品を気に入ってくれる企業が現れ、大口契約へと結びついたのです」
この時の出会いをチャンスに活かし、同社は奇跡的な復活を遂げたのです。
「私は常に『希望は仕事のバイタリティー』と、自分に言い聞かせています。“希望”を捨てず、あきらめない姿勢で来たからこそ、今日の株式会社サークル・ワンがあるのです」
一丸社長のブレない“縦軸”と、フレキシブルな対応力を持った“横軸”。同社が仕掛ける未来へのチャレンジはこれからも続きます。