お客さまに喜ばれる看板を通して
まちに彩りを添えていきたい
インターネットの普及により、企業が消費者に自社の商品やサービスを伝える役割を担うマス媒体の図式が塗り替えられました。一方、ポスターやチラシ、DMといったSP(セールス・プロモーション)媒体は、ダイレクトに購買意欲を引き出すことに利用され、独自のポジションを確保しています。なかでも屋外看板は、露出地域こそ限定されますが、デジタルツールが苦手な高齢者層も含む不特定多数の消費者に向けて情報が発信され、24時間・365日稼働する広告媒体として認識されています。
大分市下郡に本社を置く「有限会社大日広告」は、現会長の岩下正利氏が1977年に創業した広告・看板の会社です。同社では県内外に拠点を持つ大手外食チェーン等の看板保守・点検事業を請け負っていますが、2017年には「サインラボ」というブランド名で大分県内の看板類の企画・製作・施工を行う「株式会社大日」を設立しました。両社の代表である岩下正史代表取締役社長は、次のように説明します。
「もともと両部門とも一体での事業展開をしていたのですが、時代の変化と取扱製品の拡大に伴い、企画・製作部門と保守・点検部門を分離し、より取引先のニーズに応えられる体制を整えました」
かつて看板といえばペンキなど塗料による塗装が中心でした。しかし技術の進化により高品質なインクジェット出力が可能になり、最近では電飾看板やLEDディスプレイによる屋外ビジョンも増加しており、取引先からは視認性の高いデザインと斬新な企画力が求められるようになっています。その一方で、安全で不具合のないメンテナンス体制の整備は必須事項。岩下社長は、このような現状を踏まえて思いきった決断に至ったのです。
「交通広告、ビジョン広告、野立看板、ファサードサインからカーステッカーの製作まで、大小問わず様々な提案を行っています。先日はアルミ複合版をカットして立体的に文字を浮かばせる看板を提案したところ、大変喜ばれました。これからも“プロの看板屋”に恥じない仕事をしていきたいですね」
ホームページからの受注も増え、ブログなどによる地道な情報発信の成果も表れています。
「子どもの頃、夢のある道具を四次元ポケットから出してくる『ドラえもん』のアニメが好きでした。父親の仕事を近くで見ながら、いずれ自分も看板を通じて街に彩りを添え、お客さまに喜んでもらえる提案をしていきたいと考えるようになったのが、この事業を引き継ぐ決心につながりました」
「サインラボ」のスタート時に製作した金属プレートは、その決意の証しなのかもしれません。