▼始まりはみらい経営者スクール2023
2023年秋、4年ぶり!に県内の経営者、後継者、リーダー20人が参加する「みらい経営者スクール」(みらいしんきん同友会主催)が開かれました。私が講師を担当する「コミュニケーション」をテーマにした回では、受講生が入れ替わり立ち代わり、「語る・聞く・動画を撮る・チェックする・笑う・拍手する」を繰り返しました。結果、スクールが終わる頃には「言いたいことが伝わる」「分かる」状態になり、みなさんニコニコ顔になっていました。
見学取材に訪れていた「e-DoYou!」の編集者がこの様子を見て、講師の私に新コーナーでの連載を持ちかけてくださり、お引き受けしました。これからどうぞよろしくお願いします。
▼ネタ元は中高の教科書
今の教科書はナカナカ面白いです。もうテストで試験されることもないし、という気楽さが大きいですけど。
この連載は「国語> 古文 > 和歌」に着目しました。和歌は膨大にあるので、その中から百人一首の作者に着目。スクールに参加したみなさんのお姿を思い出しつつ、本サイトの読者のみなさんと共有したい作品を5つ選びました。「e-DoYou!」を訪れた方々に楽しんでいただけるよう、ちょっと格言ふうに改変しています。
以下、「用途(Usage)」「改変作」「元歌」「元歌の解説」の順で書いています。改変作の趣旨説明は、元歌の解説で代えさせていただきます。ご笑覧いただければ幸いです。
▼和歌のスタイルで表現してみた
■Usage #1 受講生はじめ私たちが時々に感じる心として
上司の心は闇にあらねども 部下を思ふ道にまどひぬるかな
[元歌]
人の親の心は闇にあらねども 子を思ふ道にまどひぬるかな 藤原 兼輔(877 – 933/57歳)
[解説]
人の親の心は闇というわけではないものの、子どもを思うと自分はどうすれば良いのか迷うものだ。
* * *
■Usage #2 思い煩いから逃れる心として
今日がうまくいくよう天に祈る 明日のことは天のみぞ知る
[元歌]
万代のはじめと今日を祈りおきて 今行末は神ぞ知るらむ 藤原 朝忠(910 – 967/57歳)
[解説]
すべてのはじめとして今日のことをお祈りする。これから先のことは神のみぞ知る、だ。
* * *
■Usage #3 うまくいかないときに対処する心として
ありえないほどうまくいく話を考えて ひとりでそっとにんまりとする
[元歌]
つくづくとひとり笑みをもしつるかな あらましごとを思ひつづけて 源 俊頼(1055 – 1129/74歳)
[解説]
不遇なのだけれど、都合の良いことを想像してはにんまりする自分。
* * *
■Usage #4 スクールで出会ったご縁を大切にする心として
スクールが終わり別れ別れになっても いつかまたお会いしたいもの
[元歌]
瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳天皇(1119 – 1164/45歳)
[解説]
滝の川は早い流れで岩とぶつかり、いったん別れてしまうけれど、先でまた合流するものだ。
* * *
■Usage #5 答えなど出ないものと知る心として
うまくいくことありうまくいかないことあり なぜと問うても答えなし
[元歌]
うきしづみこむ世はさてもいかにぞと 心に問ひてこたへかねぬる 九条 良経(1169 – 1206/37歳)
[解説]
浮き沈みの激しいこの世とはどんなものかと自問しても答えは出ないわ。
* * *
それではまた次の歌会でお会いしましょう。
安部 博文
あべ・ひろふみ:1953年、大分市生まれ。大分大学教育学部物理学科卒業、師匠は田村洋彦先生(作曲家)。由布院温泉亀の井別荘天井桟敷レジデント弾き語リスト(自称)。大分大学で第1号の経済学博士、指導教員は薄上二郎先生(現青山学院大学経営学部教授)。国立大学法人電気通信大学客員教授。電通大認定ベンチャーNPO法人uecサポート理事長。
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