※「みらいお宝発掘プロジェクト 第2回みらいお宝発表会 Report_01」より続き
#02 中村刃物(中津市)
100年以上続く老舗企業の新たな挑戦
[登壇者]
中村刃物
四代目 中村 公蔵 氏(如水支部会員)
[COMPANY PROFILE]
中津城に仕える刀鍛冶だった中村栄治氏が1900(明治33)年に創業。現在は包丁、はさみ、かま、くわ、ナイフ、レジャー用のくま手(アサリ掘り)といった多様な生活用品を揃え、製造から販売、修理までを一貫して手掛けています。同社のこだわりは、鉄を叩いて圧力を加えることで強度と靭性を高める伝統的な製法「鍛造加工」を120年にわたって続けていること。「父である先代が掲げた『刃物ドクター 刃物のことなら中村へ行け!』というモットーの下、厳選素材からつくった製品や修理した製品は、『作業効率が上がる』『料理が楽になる』『本物の切れ味がよみがえる』といった付加価値を提供しています」と四代目となる中村公蔵氏は話します。
URL https://www.nakamura-hamono.jp
[顧客提供価値]
上述のモットーに加え、「お客様が望む『切りたい』の要望に素早く応えたい」という想いをベースに置く同社には「材料や仕入れ品へのこだわり」「プロ仕様の設備」「日々の修練と承継されてきたノウハウ」などが備わっていると評価。それが「プロも驚く品揃え力」「お客様起点の商品力」「鉄を熟知した技術力」「要望を実現する提案力」といった成功要因(顧客から選ばれる理由)に、ひいては「切りたいものが切れるようになる」という顧客提供価値に繋がっていると見なされました。
[アクションプラン]
顧客提供価値のさらなる向上に向けて、2つのアクションプランを掲げました。
①新しい販売チャネルの開拓
②地域住民への認知度向上
①ではECサイトやSNSなどの活用を、②では若い世代に同社を知ってもらうための取り組みやGoogleビジネスプロフィールの整備、チラシ配布などを視野に入れていると中村氏は意気込みます。その上でSNSの活用方法やECサイトの運用方法、認知度向上の方法などについて意見を求めるとともに、「今後も中津市に根付いて事業を続けたい」と抱負を語りました。
[アドバイザーからの意見 01]
SNSは様々な化学反応が期待できるツール。こちらが意図しない形で「バズる」ことも多いので、例えば、製品をインテリアとして使用したシーンの投稿など、本来の目的以外の「プラスアルファ」を意識することで、新たなファン獲得につながる可能性もある。また御社を支え続けてきた既存顧客へのアプローチも、地域住民への認知度向上に向けた一助になるだろう。そういった意味では、御社のモノづくり力を活かして、高齢者でも使いやすいユニバーサルデザインの製品を展開するといった手も考えられる。
(大分大学 経済学部 社会イノベーション学科教授 渡邊 博子氏)
[アドバイザーからの意見 02]
台湾出身の私の立場からすると、日本の伝統的な刃物は文化的な面で非常に魅力的だ。御社の製品は日本文化に興味のある層に注目される可能性が高いと思うので、御社の理念を理解してもらった上で海外のインフルエンサーに商品を使ってもらうなどすれば、海外での認知度向上も見えてくるのではないだろうか。
(大分大学 大学院経済学研究科 博士前期課程 張 凱勛氏)
[アドバイザーからの意見 03]
業種は違っても気軽に話せる職人仲間を身近に作ることをおすすめします。そこからお互いの情報交換や悩みを相談することにより、新たなヒントが見つかるケースも多々あります。大分県中小企業家同友会中津支部でも研修会や勉強会から生まれた成功事例も多々ありますので、ぜひご活用ください。
(大分県中小企業家同友会 代表理事 髙野 浩子氏)
※「みらいお宝発掘プロジェクト/第2回みらいお宝発表会 Report_03」へ続く