ジュエリーが好きな女性がニューアイテムを買いたくなる気持ちと、道具として使っているフライパンを買い換えるタイミングの話で終わった前回…。
心の潜在意識と衝動・刺激(感情)が上手くマッチすることで行動を起こしやすくなる、という人の心理を突いて、商品の購買意欲をかきたてればいいのだ!と、マーケティングや心理戦のお話でまとめました(復習)。
ではここから、提供する側の人間として一体どうやってアプローチすればいいのさ?を解決するポイントの話に入っていきたいと思います。
■読み手の思考に沿う「3つのWhy」とは
セールスライティングを少しでも学んだ(かじってみた)方であれば、目にしたことがあるかもしれない「3つのWhy」について触れてみます。
「ラブレターの法則」もライティング業界ではよく聞く言葉ですが、いずれも「届けたい相手のシーンを想像しながら、情熱をそそいで丁寧にメッセージを書きましょう」という意味で同じものです。
ジュエリーは「小ぶりでグレードの高いダイヤに限る!」や、欲しいのは「家族全員分のチャーハンを一気に作れるくらいの強火でガシガシかきまわせるフライパン」など、何となく日常的に抱いている理想形のような潜在的意識は、そうそう掴めるものではありません。
加えて、Web情報に慣れ始めた現代人は、「読み飛ばし」という技を繰り出し、断片的な情報を信じようとするクセがつき始め、なおかつ、ファーストビューの情報に対して考えを持たず、自分ごとのように鵜呑みしてしまう傾向すら感じます。
だからこそ、次に紹介する「3つのWhy」で、読み手の考えを先読みし、具体的かつ丁寧に描写してあげることが効いてくるのです。
■Why You・Why me・Why nowを漏らさず書く!
見出しに記したWhy三連チャン、これが「3つのWhy」と呼ばれるセールスライティングの真髄です。
Youは「あなた」。なぜあなたから買うべきか。なぜ他の人(やアイテム)じゃいけないのか。
そしてMeが「私」。なぜ私は買う(利用する)べきなのか。※私=ターゲット・ペルソナ
最後にNow、「今」。なぜ今(のタイミング)なのか。今やるべき理由はあるか。
書いているうちに文章が迷走し始める人は、ターゲティングして文章設計していきましょう!と第7回でお話しましたが、これが思考を想像して書く際の具体的内容といってもいいでしょう。
そして、ここまでコラムを読み込んでくださった方は、You(ユーザーにとっての私)が「こんなにスゴイんだぜ!」ではない、と理解していただけるはずです。己の自慢ではなく、「あなたにとってどれだけ有益か」を記すべき。なので、そのために優位性や比較を重ね、信頼や実績を掘り出す市場調査がマストです。Meでペルソナを明らかにし(第2回中盤)、ペルソナが共感するような有益性を見つけなければなりません。
そして、とどめに「今こそあなたがアクションすべきタイミングだ! だって……」の「……」部分に、インパクトやメリットをはめ込みます。
この3つのWhyさえ記すことができれば、かなり感情を揺さぶる、洗練されたテキストが完成します。ただ、実際に3つを埋めようとすると、チョチョイと書けるものではないと体感するはずです。
■「3つのWhy」は文章であれば何でも活用できる
このwhyは、コピーライティングやセールスに限ったものではありません。たとえばブログや提案書、企画書、社内文書、ゴルフコンペのお誘いから忘年会の開催案内まで、「聞いてほしい見てほしい」を叶える手法だと思っています。
そして自分アピールではなく、相手の有益性(ベネフィット)を探求し、思考になぞらえるように素直に並べていけば、読み手にジャストフィットした文章になり、まるで自分の考えのように刷り込まれていくでしょう。
もちろん、熱っぽく語りはじめるがゆえに長すぎたり、専門的な言葉を思わず使ってしまうと、読み手の流れを止めてしまいます。その先に進みづらくなってしまうので、第4回のわかりやすさに留意して文章を書くことも忘れずに。
【今回の脳内開放の法則】
「3つのWhy」がしっかり書ければ、相手の心と思考にガッチリフィットする文章になるよ
「ラブレターの法則」という言葉も紹介しましたが、独りよがりな気持ちを惜しげもなく綴り、「ね! だからあたしと付き合って!」と押し売りを極める危険度が高いラブレターですら、3つのWhyで相手にプレゼンすれば「この人しかいない!!」と思わせることができるかもしれません。
思春期のお子さんや親戚のいる皆さん、話のネタにアドバイスしてみてはいかがでしょう。もしかしたら、必勝ラブレターの書き方から会話が弾むかも(主観です。責任は一切負いません)。
いよいよ総括が近づいてきました。第11回「心をゆさぶるWebテキストを書くには(完結編)」では、これまでのまとめに加えて、物書き思考についてのお話を(予定は未定)。乞うご期待。