■コロナを無かったことにする方法、教えます
3年振りに大にぎわいを見せていた東京・浅草寺へ初詣に出向いてから約3週間、再び「地獄が呼んでいる」ようです。
そうです。あの「マン防」が舞い降りてきました。
そんなわけで今回の本コラムは「コロナを無かったことにする方法、教えます~How To Pretend CORONA Never Happened!?」にしたいと思います。もちろん「コロナ禍を早く忘れてしまいたい」とか「見て見ぬふりをして過ごす」といった、辛い現実からの逃避を推奨するとか、指南するとかの類ではありません。ただ「with C」とか「post C」とか「after C」とか、結局のところ「C」中心の(翻弄される)ライフスタイルから抜け出して、あらためて自分が本当に好きだったこと、楽しかったこと、やりたいことをもう一度思い起こし、考え直し、突き詰めてみようという思考実験をしてみませんか、という提案です。
前置きが長くなりました。さっそく頭の中から「C」という雑念を追い払って、ここ最近、特に自分が夢中になったと感じる事を思い浮かべてみると、それは「映画」でした。
個人的には、つい最近まで映画の新作・話題作を「映画館に行って観る」、公開数年後または見逃した映画を録画して「TVで観る」、そして「ビデオもしくはDVDを買うか借りるかで観る」、その3択でした。
しかし、あらためて現在の自分の映画視聴環境をおさらいすると、「WOWOW」(月額約2,300円)、「Netflix」(月額980円)、「amazon prime」(会員サービス?)、「ケーブルテレビ」(ほぼ何でも観れて月額数千円with Wi-Fi)がメイン。これに地上波での放送を加えたら…「人生100年時代」にふさわしく、毎日映画を観続けても100年かかるという(笑)劇的な変化に気づいたのでした。
こんな時代だからこそ、映画館という空気を感じながら観たい、かつての名作・迷作や、ほとんど話題にならない(≒配信されていない)マニアックな作品等を観たいという衝動に駆られることが多くなっています。
そんな時に、新たな動きが!
昨年のコラムでも紹介した「下北沢再開発」エリアに誕生したミニシアター「K2」。
新しい下北沢駅ビル(第Ⅱ期開発?)に直結した小さめの商業ビル「(tefu)lounge」1F にカフェやシェアオフィス的な機能を併設した、席数約70のまさにミニシアターが2022年に奇跡のオープンを果たしました。
ちょっと大げさかもしれませんが、昨年は「アップリンク渋谷」が5月に閉館し、今年は開業54年の「岩波ホール」が7月閉館を発表する一方、配信を中心に活況を呈する映画制作業界に比べて、ミニシアターの存在が消滅するのではという状況の中、静かに現れたのが「K2」なのです。
大げさではなく、これは事件です。やはり昨年紹介した「代官山シアターギルド」も世界初の「ヘッドフォンシアター」という武器を携えて開業しました。「映画」というコンテンツを、自宅のソファーで寝転びながら(これはこれで快適ではありますが)、電車の中でもスマホやタブレットで(同じくこれも有効な時間の使い方です)楽しむのもいいですが、やはり映画「館」という空間で、スクリーンと客席を繋ぐ総合芸術&エンターテインメントを、ほどよい緊張と没入感を感じながら過ごす至福の2時間は何ものにも代えられません。
フィルムがデジタルになろうが、4K /8Kの驚愕映像だろうが、3DやVR/ARの未来的映像世界だろうが、予告編の後、本編開始直前の秘かな高揚感は「館」でしか味わえません。
個人的には、私のパルコ時代に足繫く通った「シネマテーク(名古屋)」、そして「シネマ5(大分)」が今も現役であることにホッとしながらも、こうして映画を体験する空間が新たに作られることに、なぜか希望を感じ、感謝の気持ちが湧いてきます。ぜひとも東京のミニシアター巡りを、旅や仕事の合間に加えて下さい‼
最後に、今一番観たい映画は「DISNEY+」で単独配信中のTHE BEATLESドキュメンタリー映画「GET BACK」。さらに月額980円を払うべきか否か…悩みながら、当面はシニア割引(1,200~1,500円)をフル活用して「映画館」通いに励もうと思います。