■IKEA vsニトリ&無印良品、仁義なき戦いの行方
なんて、今どきそんな物騒な、いや心躍るような話はありません。なぜなら戦いどころか、IKEAの一人勝ちの様相を呈しているからです。
これはあくまで私個人の意見であり、売上データや客数等のエビデンスに基づいてるわけでもありません。
しかし、最近特に他の2店に比べて、何よりIKEAの存在感を強烈に感じるのは、街を歩く人たち(特に若者)がIKEAのショッピングバッグ(エコバック)を持ち歩く姿が、とにかく目立つことです。
IKEAのベーシックタイプ・エコバッグ
別のバリエーション。右は渋谷限定
もちろんニトリや無印良品(以下「無印」)の買い物客がショッパーを持ち歩くことはごく当たり前の話ですが、いわゆる「普段使い」に、あるいは「IKEA以外の買い物」に、あのパリパリしたエコバッグを持ち歩く姿は、80年代の紀伊国屋のビニールトート、その後のDEAN&DELUCAの布製お弁当袋(!?)に匹敵する拡がりっぷりです。最近ではアメリカ・ロサンゼルス発祥のグロサリー・ストアTRADER JOE’Sのエコバッグを持った女性も相当目に付きだしました。
今やカスタマイズして使われるD&D(右)のランチバッグ
日本でも人気急上昇中のTRADER JOE’S
ちなみにIKEA渋谷店開店時に(ジョークで?)限定販売したエコバッグと同じ素材を使ったキャップはどうやら外したようですが。
ちょっと狙い過ぎたキャップ(笑)
ご存知のようにIKEAは80年代に本格的に上陸したものの、当時の日本のライフスタイルや住宅事情にデザインやサイズ等が馴染まず、商品の品質にも問題があったようで、あっという間に撤退をするという苦い経験をしています。その間、無印のミニマル&スタイリッシュなコンセプトが幅を利かせ、さらには安いけど、品質もデザインもイマイチ以下だったニトリがセンスと実力をつけ始め、デフレ時代に大躍進しました。
蛇足ですがDAISOを中心にした100均ショップの台頭も影響大と思われます。
そこに再登場してきたのがリベンジャーIKEAです。
もともと日本人は大の北欧好きなので、あのテイストが嫌いなわけじゃなかったのですが、かつての強敵(?)大塚家具でもコンランショップでもIDEEでもない、無印とニトリが席巻する日本のライフスタイル&インテリア市場に、あのスウェーデンの国旗カラー「青と黄」のロゴマークを掲げながら、絶妙なタイミングで再び姿を現しました。
当初は、以前と変わらず都市圏以外に大規模店舗を出店するという戦略でしたが、原宿駅前店をきっかけに一気に渋谷~新宿(三丁目)等の都心・ファッションエリアへ出店攻勢を掛けてきました。
(ちなみにこの2店とも、日本から全撤退したアメリカのファストファッションFOREVER 21の跡に出店)
そして、ここで彼らが取った戦略はあのロゴ入りエコバッグを若者を中心に徹底的に持ち歩かせること。さらに、あえて1階ゴールデンフロアの正面エントランスにフードショップを配置。特にシナモンロールとホットドッグの香りを、まるで鰻屋の客引きの煙のように周囲に撒き散らせて集客の武器にすること。
こんなインテリアショップが他にあるでしょうか!
無印が銀座に高級を装ったホテルを作ろうが、最近の売れ筋商品が所詮「レトルトカレー」だろうが、はたまたニトリがワンコインの「ステーキレストラン」を始めようが、そのPR効果はあっという間に消え去ってしまいます。
それぞれの仕掛けが、店舗の認知やイメージアップにしっかり繋がっているIKEAのブランド戦略には遠く及びません。
おそるべし、IKEAの仁義なきエコバッグ戦略!