老舗の流儀が成せる技
(山里料理 葡萄屋)
雑木林と季節の草花がお客さまを迎えてくれる由布院玉の湯。あこがれの宿として数々のメディアに取り上げられますが、敷居の高さを忘れて心身ともに清涼感あふれる空気感に包まれるのは、名宿たる所以なのかもしれません。
宿泊で利用せずとも、その片鱗を味わえるお食事処が、山里料理葡萄屋です。夏は古代杉の大テーブルなど、山里らしいしつらえが、お客さまを優しくもてなします。
玉の湯といえば、“地産地消”という言葉が一般的になる以前から、地元の素材にこだわってきた料理宿としても知られています。地元の農家が手塩にかけて育てた旬の野菜が上品に盛り付けられ、厚めにカットされた豊後牛の炭火焼、川魚の焼き物、お吸い物と、ふんだんに供される山里の恵みの数々に、感謝の念を覚えるほどです。
「玉の湯の味を崩すことなく、旬の味わいを心ゆくまで楽しんでいただけるよう、細やかな気づかいに配慮しています」と話す、三ケ尻弘毅料理長。東京や大分市の料理店で修業を重ねたあと、湯布院のまちで腕を振るうようになって、まもなく20年。当宿の料理長に就任してから3年が経過しました。
「料理人は100−1=0、つまり多くが合格点であっても、ひとつ手を抜いたらすべてが台無しと教えられてきた厳しい世界。湯布院の料理人仲間の会合では、料理にまつわる会話を熱く交わすこともあります」
生粋の職人らしい情熱を持ちながら、つくりだす料理をひとくち味わうと、むしろ緊張感から解き放たれた幸せな気分に包まれるのは、熟練が成せる技なのかもしれません。
日帰りでディナーを楽しんだ後、次は泊まりで朝食も、というお客さまも多い山里料理葡萄屋。“旬”の湯布院と出会える店です。