こだわりの醤油ダレが人気の宇佐からあげの名店
「からあげ専門店発祥の地」として、全国的にその名が知られるようになった宇佐からあげ。「からあげの聖地」と称される中津からあげとならび、全国で巻き起こる、からあげブームを牽引するツートップといっても過言ではありません。今年は宇佐からあげをテーマにした映画も上映される予定であり、ますます大分県の食文化が注目を浴びそうです。
宇佐市に店を構える『からあげ太閤』は、数ある宇佐市内のからあげ店でも、老舗のひとつとして知られています。運営会社の株式会社太閤の吉田修冶代表取締役は、宇佐市生まれ。学校を卒業後、県内外の会社に勤務した後、40歳となった昭和63年に独立開業を決意しました。
「そこで思いついたのが、我が家の子どもがなによりも好きだった、からあげの専門店。もともと私自身もスーパーで食肉バイヤーの経験もありましたし、開業資金も低コストに抑えられるという利点もあり、ふるさと・宇佐での開業に至ったのです」
修業を経て、フライヤー1台でスタート。戦国時代に天下を獲ることに勤しんだ太閤・豊臣秀吉と、同店所在地の地名から『からあげ太閤』と命名。まだ宇佐市内のからあげ専門店も、ほんのわずかの店舗数しかなかった時代でした。
「それでも当店独自の味を出そうと、最初の1年半は試行錯誤の繰り返しでした。その頃は6種類ほど売り出していたのですが、現在は手羽先を除き、醤油味1本に絞っています。そもそも子どもたちが気に入っていたことが創業のきっかけだったので、今度は知人の子どもたちも交えて味のモニターをしてもらった結果、現在の味にたどりつきました」
醤油味をベースにしながら、にんにくは控えめ、生姜など10数種類のスパイスで味付けされた秘伝のタレは、からあげ太閤の自慢です。大分、鹿児島、宮崎と厳選された国産若鶏を使い、じっくり8時間ほど漬け込んで下味を仕上げたあと、手際よく揚げていきます。いまでは7台に増えたフライヤーですが、注文が集中する夕方になると間に合わないほど。口あたりのいいジューシーな肉汁と、パリッとした衣が食欲をそそり、揚げたてはもちろん、冷えても美味しいと口コミで評判を呼び、人気を高めていきました。テレビや雑誌など全国メディアでも紹介され、大手メーカーからは当店監修のからあげ粉も全国発売され、宇佐からあげを代表する名店になっています。
「おかげさまで日本唐揚協会主催『からあげグランプリ』しょうゆダレ部門で、最高金賞を2度も受賞しました。ホームページでも販売しており、お客様は全国に広がっています」
厨房では、吉田代表取締役とともに息子さんも腕を奮います。家族ぐるみでつくる『からあげ太閤』の人気は、とどまることを知りません。